3月 182009
 

子宮筋腫には現在いろいろな治療法があります。
ある程度の侵襲(少なくとも体を傷つける)が加わるものとして,
1.おなかを切開して子宮を全部取ってしまう複式子宮全摘術,
2.膣から子宮を摘出する膣式手術
    (基本的にはお産をした人,赤ちゃんの頭が出たぐらいだから)
3.腹腔鏡(内視鏡)下の手術,補助的に使用して膣式に取る方法もあります。
4.股からカテーテルを入れて子宮動脈からの栄養血管を止める方法
5.子宮の中にできた筋腫を削る方法
6.その他,超音波による方法
など様々な治療法が考えられます。
もちろんそれぞれには手術を正当化する厳密な適応が必要ですし,
その方法でしかやれないというものもあるでしょう。

いざ,こういう治療が考慮されたときにどの方法を選ぶのが一番いいのでしょうか。
現在の国民皆保険による治療はこの少子高齢化,国家財政の大赤字,
医療費削減の流れの中でまあ意外と考慮されてると思います。

保険診療を最低限のセイフティネットだとすると,
まずいろんな使い捨て機器を使いコストを喰う腹腔鏡手術などは
適応する必要さえないといえますが,
(実際には開腹による子宮全摘術よりも高い保険点数を払ってくれる,基本コストは高くつく)
問題は保険適応されたがゆえに,必要器材のコストはすべて医療機関が負うことです。
他にも手術室の占有時間が長くなるなどのデメリットは大きい。
(保険診療と自費診療は同時に行ってはいけないのが原則なのです)
誰しも自分が最高の医療,ゴッドハンドにかかりたいと思うのはやまやまですが,
結局のところ誰かがコストを払っているのであって,
保険診療という枠内で縛られてしまった医療期間はその総量規制の中で
疲弊していくだけなのです。

本音を言えば手術をせざるをえない子宮筋腫は,皆保険の包括医療の中では
腹式子宮全摘のみを代表として包括点数にして,
そのほかの外科的治療の包括部分は保険から出るようにして,
施設ごとに力量に応じてオプション料金を自費でとるというのは間違ってますか?

たぶん医療の平等性は損ねると思いますが,
そうでもしなければやっていられない状況に医療機関は陥っています。

 Posted by at 7:20 PM