数奇にして模型 NUMERICAL MODELS
森博嗣 S&Mシリーズ 9作目。
正常と異常,個人と集団。人は無意識に自分の尺度でカテゴライズし,理解できないものを異常とする。
modelingもまた同様。型にはめようとすれば,デフォルメされる。
昔,トランジスタが登場してきたとき,アンプなどではやはり真空管の音がとか,
アナログ盤からCDに変わった時も同様の議論があった。
少し違うが,我々の業界でも注射器がポリエチレン(かどうかは知らない)のディスポーサブルに変わった時に,
ガラスの精密さは二度と手にできないものになってしまった。
どちらがいいとか悪いとかという議論ではない。ただそれだけ。
解説も秀逸。
1957年生まれの森博嗣とまったく同世代の自分としては,
推理小説というカテゴライズでこの作者を考えているわけではない。